Sのもめ事(2017年11月)
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卵焼き弁当、160円です |
これはSMの事ではない。Sはまりや食堂の卵焼き弁当の略称だ。
そのSについて一カ月前ほどにちょっとしたもめ事があった。それはお金を出したか出さなかったかということだ。まりや食堂は前金制だ。まず勘定を済ませて、隣で弁当を出す。
私は注文を聞き伝票に品物の名を書き、この場合はSと書き、お金を頂いて番号札を渡し隣に行ってもらう。その人が卵弁当を注文した。同時に「毛布をくれ」と大声で叫ぶ。「毛布は後からね」と言ってお金をもらおうとしたら「金はもう出した」と。私は「もらってない」となった。
「毛布くれ」という言葉で、注文の状態が何処まで進んでいるかわからなくなり、そして「出した」、「もらってない」の平行線になってしまったのだ。
すったもんだしたが、私は突っ張って、彼はぶすくら言って行ってしまった。それから数日して来た。注文はしないで、離れたところから大声で「まりやは金をとったのに、弁当よこさない汚い野郎だ」とわめいている。この人はよくわめく人だ。それが来るたびに続いた。
私は彼と関係を改善すべきと考え、来た時に「弁当を上げるから」と誘っても、「いらねーよー」と吐き捨て、また、わめくのだった
ずっと来なかったが昨日来た。すっとカウンターに来て「卵焼き弁当くれ」と200円置くではないか。
私はすかさず、「こないだはすまなかったね。いやな気分にさせて、お金はいいよ」、「そうはいかねーよ」と受け取ろうとしないで、隣の出し口に行く。私は追いかけて「じゃ半分だけもらうよ」と100円返したら取ってくれた。
弁当受け取り口でボランティアのおばさんに「誰でもうっかりな間違いはあるよなー」と静かな声で言っているのが聞こえた。弁当を受け取ってから「釣りをくれ」と言う。彼は確か200円出したから釣りを40円渡した。計算では、彼は200円出して、私は100円返して、40円の釣りを渡したから、彼は計140円手にしたから、60円で卵弁当を買ったことになったのだ。
まあ、痛み分けという感じだ。つまり互いに自分の非は認めないが、互いに気を使ったことになった。繰り返すと私は間違ってないが、感情を害してしまったことを謝り、その弁済として弁当を提供するという態度だった。彼は自分は間違いなく金を払ったのだが、誰にも間違いはあるのだと私の非を指摘して、自らの主張を正しいとしながらも、私の行為を受けいれて一件を落着させたのだ。彼がこれほどのセンスがあるとは日常の行動からは推しはかれなかった。
もめ事は嫌だからめでたしだが、歳のせいかうっかりミスはあるのだ。確かにもらったのに、うっかり忘れたりする。釣りも間違える。いろいろと間違える。特に開店間際に間違える。多分それは今の今まで3階でたいがいパソコンを使い原稿を作ったり、ヘブル語をしたりしていて、急に会計の仕事に入るので頭が切り替えられていないようなのだ。
でも、確かに忘れっぽい。それでトラブルがないように、会計の時は注文を聞いて、客がおさらにお金を置いて、私は注文をメモして、釣りと番号札を渡し、客のお金をレジに入れるようにしている。いずれにしても客の金を目の前に置いとけば問題はないのだ。最後にレジに入れるのだ。今はこの方法が一番良いと思っている。