ひとひ(一日) (2020年4月3日)
「内臓の悪化を辿る鳥雲に」
8月に発病して悪性癌と言われているが、半年以上を生き延びている。痩せてきているがぼそぼそと生きている感じだ。食欲が出るような腎臓の薬を点滴しているせいか、食事もそこそこに食べてくれる。
食事は時に面倒くさくなるが、我慢してささみ、鶏もも、豚もも、牛と盛り沢山だ。牛は好きだ。豚も好きだが脂が強いから沢山は上げない。芋が好きだ。特に紅はるかが好きだ。軟くて甘みがある。ブロッコリーも好きだ。それにドックフード缶詰。缶詰は好き嫌いが強い。できるだけ食いつきの良いものを上げる。高いものは好きだ。普通の倍もするのもある。
重症と言われながら生き延びている。鳥が故郷に帰るために雲の向こうを飛んで、雲に見えなくなる風情がこのタイトルの「鳥雲に」だが、勇太もいずれはそうなるだろうが、今述べたように一生懸命、手塩にかけて世話しているから悔いはないだろう。
おしっこがとても近く苦労する。朝一は私の担当で朝4時に一回目をする。昨夜の担当は妻だが、夜の11時ぐらいならマシだが、午前一時なんていうこともある。ちと大変だ。寝不足になるので、朝は私が担当しているのだ。
おしっこはたっぷりするので、用後は十分水を撒き周りが匂わないようにしている。
2階で食事だが、階段を上がる時はリードを持ち上げ、重力を軽くして、駆け上がりやすくしているが、今朝は自分の脚は使えなかった。普通は後ろ脚を踏ん張って一段ずつ上がるのに、その脚に力がなく立ち上がれないのだった。抱きかかえて行った。痩せて軽くなっていたが、生きる証のぬくもりは私の手に伝わってきた。
この階段の上り下りがいっぽ(勇太のあだ名)の運動なのだ。もう外ではめったに歩かないからだ。この階段がまた健康と病状のバロメーターだ。今朝は上れないということは病状が少し進んだことを意味するのだろう。
私が出勤前にもう一度おしっこをさせてバイバイだ。夜帰ってくれば玄関で待っていてくれている。もう尻尾は振れない。また下にくるまっている。多分癌のせいでそうなのだろう。後ろ足もむくんできた。仕方のないことだ。でもこうして一日のいろんなことを時の中に、私の心の中にたっぷり刻みながら今を生きている。
#甲斐犬
#老犬