鳩に餌をやる人 (2020年11月17日)
餌をやる人は知っている。いつものり弁の大を買っていく「のり弁おじいさん」だ。ほぼ酔っている。鬚もじゃの人で、近所のドヤ住まいだ。山谷では、一人住まいのわびしさから動物をかわいがる人が多いが、この人は隣の駐車場にしゃがみいつも鳩にパンくずを上げている。
こんな人のおかげで、はとが繁殖し糞だらけとなるのだ。この人に糞のことで注意するのもしづらい。これが楽しみなのだろうと思うからだ。鳩は人懐っこいから親しみを込めて寄ってくる。かわいいかわいいと餌をやるから足元に群がるのだ。楽しいひと時なのだ。これをぶち壊すのもかわいそうだ。この人はこれで心がなごむのだ。
たわしで掃除してくれるおじさんは「黒卵焼きのおじさん」でまりや食堂では通っている。次の日食べるのでしっかり焼いてもらいたいのだ。このセリフから推し量って路上生活者なのだろう。ある日交渉して、路上に水を撒いてもらえたら毎晩卵焼き弁当を提供したいのだがとおずおずと頼んだら快諾してくれた。
まりや食堂の周辺はその糞やツバ、タンなどで汚れている。特に糞はひどい。それに隣の駐車場とまりや食堂はヘンスで仕切っているが、このヘンスの場所が道路から少し奥まっていて車が何台も駐車していれば、立小便には恰好の場所なのだ。おじさん達はひっきりなしにそこで用を足すので、臭い。小便がしみ込んで不快な臭いまでする。そこまで水を撒いてもらうために長いホースを提供したのだが最近は怠けているみたいだ。内の人間に頼んで水を撒くしかないだろうと思っている。
駐車場管理者に強く言えばよいのだが、ここらは皆借地。駐車場は地主の所有なのでなかなか言えないでいる。法が変わり、だいぶ前から地主の権利が強くなったので借りている方は強いことが言いづらいのだ。